○汚れた水をきれいにするしくみ


 自然界には様々な生き物が暮らし、それぞれがバランスを保っています。そこには汚れを自然にきれいにする力
(自浄作用)があります。しかし人間の集団生活によって生じた汚れは、とても自浄作用ではきれいにできません。そのため、汚れた水を集めて、きれいにする方法がいくつか考え出されました。伊都浄化センターでは、「活性汚泥法」と呼ばれる、微生物を利用した方法を使っています。これは下水処理場で最も多く採用されている処理方法です。

 下水に微生物を大量に含む汚泥(活性汚泥)を混ぜ、空気を吹き込むと、微生物の活動が活発になり、下水中の有機物(汚れ)を分解していきます。微生物は川や土の中など、どこにでもいるものですが、自然の状態では汚れを分解するのに時間を要します。そこで様々な運転操作により、自然の状態よりはるかに微生物が高濃度で活発に存在できる環境を作り、短時間で効率的に汚れを分解させるように工夫しています。


○下水中によく観察される微生物の例(倍率 ×100)






 

Vorticella fromenteli 
ボルティケラ(つりがねむし)(繊毛虫類)





 

Trichocerca sp.  
トリコケルカ(輪虫類 後生動物)  





 





 

Tokophrya sp. 
トコフィリア(繊毛虫類)





 

Vaginicola sp. 
バギニコラ(繊毛虫類)    





 


○下水処理の原理






汚れた水に活性汚泥を混ぜ、空気を吹き込みます  汚泥中の微生物が汚れを食べて増殖します  微生物が増えるとくっついて大きくなります  空気を止めて静かにすると微生物は沈み始めます  上澄みの水はきれいになります 


○伊都浄化センターの処理工程

 

水処理系統の工程

家庭や工場から排出された汚れた水は、地下に埋設された下水道管を通り、浄化センターまで流れてきます。

一部でポンプによる送水はありますが、ほとんどは自然流下です。

@浄化センターに到着した汚れた水は、まず沈砂池ポンプ棟で大きなごみや砂などを取り除いた後、下水を地表近くまでくみ上げます。 A最初沈殿池では下水をゆっくりと流し、比較的重い泥を沈降させます。
 沈んだ汚泥は汚泥処理系統に送られます。
B生物反応槽では微生物を多く含む泥(活性汚泥)を加え、空気を吹き込んでかき混ぜます
 微生物が下水中の汚れを取り込み重くなり、沈みやすくなります。
C最終沈殿池で再び下水をゆっくりと流すと活性汚泥は沈降し、きれいな上澄み液と分離します。
 底に沈んだ汚泥は生物反応槽に戻され、再び活性汚泥として働きます。汚泥量は多くなっていくので、増えすぎた分は汚泥処理系に送られます。
D上澄みは塩素混和池で塩素(次亜塩素酸Na)で消毒した後、窪谷川に放流します。

 

汚泥処理系統の工程

 
@最初沈殿池から送られる生汚泥を重力濃縮槽で濃縮させ、最終沈殿池からの余剰汚泥と共に汚泥貯留槽に送ります。 A汚泥貯留槽に一定量の汚泥が貯留されると、汚泥と水分を分離させやすくする凝集剤を加え、汚泥処理棟内の遠心脱水機に投入します。脱水後は土のような性状となり、体積は@に比べ約1/25に減少します。これを脱水ケーキと呼びます。
 
B脱水ケーキはトラックで場外に搬出し、埋め立て処分します。